コロナ不安によるメンタル不調

コロナ不安、コロナストレス、コロナうつ、コロナ疲れ…
新型コロナウイルスによるメンタル不調のカウンセリング

目次

新型コロナウイルス感染症(COVID-19)について

  • (1)新型コロナウイルス感染症(COVID-19)とは

    新型コロナウイルス(COVID-19)とは、201912月ごろから中国の武漢市で発生した、肺炎を引き起こすウイルスの一つです。新型コロナウイルスによる感染は中国から世界各地に広がり、日本では202021日に指定感染症に指定されました。

    厚生労働省の発表によると、日本での感染者は62507名、死亡者は1181名、世界全体では感染者が約2300万名、死亡者は約90万名にものぼります(2020824日現在)

    参考:
    国内の発生状況など 厚生労働省HP
    https://www.mhlw.go.jp/stf/covid-19/kokunainohasseijoukyou.html#h2_1

  • (2)新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の主な症状

    発熱や咳、呼吸困難、下痢、関節痛、筋肉痛、味覚・嗅覚障害があります。約8割の方が軽症または無症状である一方、高齢者や基礎疾患をお持ちの方は重症化するリスクが高いことが報告されています

  • (3)新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の予防法

    感染経路は、感染者の咳やくしゃみによって飛び散った飛沫(ウイルスの粒子)を鼻や口などの粘膜から吸い込んで感染する飛沫感染と、飛沫に手で接触し、その手で目・鼻・口などの粘膜に触れてしまう接触感染の2通りです。空気感染については立証されていません。

    新型コロナウイルス感染症の予防対策としては、マスクの着用、手洗いうがい、アルコールなどでの除菌・消毒、咳エチケットなどに加え、3密(密集、密接、密閉)を避ける、不要不急の外出を避ける(ステイホーム)などが推奨されています。

    参照:
    一般的な感染症対策について 厚生労働省HP
    https://www.mhlw.go.jp/content/000603845.pdf)『出典:首相官邸HPより』

    3つの密を避けるための手引き! 首相官邸HP
    https://www.kantei.go.jp/jp/content/000062771.pdf

1.新型コロナウイルス感染症(COVID-19)に起因する社会問題

  • (1)コロナDV、コロナ虐待、コロナ離婚

    新型コロナウイルス感染症の拡大により、もっとも大きな影響を受けているのが、家庭環境ではないでしょうか。仕事はリモートに切り替わり、子供たちの学校は休校になったことで、いままで適度な距離感やそれぞれの生活リズムでうまく回っていた家族関係のバランスが崩れてしまい、いままでと違う不安や不満、ストレスなどを感じている方も多いようです。

    「ステイホーム」の合言葉で仕事や遊びにも制限がかけられた、いままで経験したことのないストレスフルな環境に置かれている状況下では、不安や怒りといった負の感情を解消する術も限られます。このような時こそ、DV虐待が起こったり、家庭内の不和が深刻化します。しかしDVや虐待は、どんな理由があっても、あってはならないことです。DVや虐待をしてしまう人も、されている人も、事の重大さを理解し、専門の公的相談機関や医療機関に頼りましょう。

  • (2)暴力・暴行

    感染予防やステイホームといった新しい生活様式がもとめられるようになるにつれ、ちまたには「自粛警察」なるものが現れ、問題視されています。彼らは、マスクをしていない人にマスクをつけるように注意したり、他県から来た車に自粛を要請したり、営業している店舗に休業を要請する張り紙をしたりなど、予防や自粛を促す行為を、まるで警察の取り締まりのように行いますが、時として度を超してしまい、暴力や暴行に発展してしまいます。しかし本人たちは「正義」として行っているため、たとえ暴力や暴行に発展してしまっても、罪の意識が薄いという問題点があります。

  • (3)うわさ・デマ

    世の中が不安になると、大小さまざまなうわさやデマが起こります。今回の新型コロナウイルスでいえば、「トイレットペーパーやティッシュペーパーがなくなる」というデマです。結果、あっという間にトイレットペーパーやティッシュペーパーは買い占められ、一時期品切れになりました。他にも、マスクや除菌剤、ウエットティッシュ、インスタント麺、納豆、ホットケーキミックスなどの買い占めも起こりました。これは「必要なときに買えなかったらどうしよう」という不安に起因する行動といえます。

2.新型コロナウイルスによる不調

  • (1)コロナ不安

    不安というのは、人間にとって重要な感情です。人間は不安を感じるからこそ、慎重な行動をとったり、身構えたり、備えたりします。ですから、新型コロナウイルスに対してある程度不安に感じることは正常な感情です。感染したらどうしよう、逆に誰かにうつしてしまったらどうしようと不安を感じるからこそ、マスクの着用や手洗いで予防したり、ソーシャルディスタンスを心がけたりするのです。

    しかし、この不安が度を超えてしまうと問題が生じます。例えば、感染が怖いあまりに必要なときでも外出できない、さまざまな情報に振り回されて過剰な買占めや買いだめをする、他者の行動や感染予防に神経質になり攻撃的になるなどです。これらの行動が見られる場合は、不安が過剰になっていると思われ、さらに強くなるとパニック発作、過呼吸、動悸・息切れ、発汗、不眠、食欲低下、強迫症状など、さまざまな症状が現れます。結果、うつ病不安障害を引き起こす可能性があります。

  • (2)コロナストレス

    自分の意思とは関係なく生活や行動を制限されている、この生活がいつまで続くか分からない、自分で自分の時間の使い方や過ごし方をコントロールできない・振り回されている…。このような「自分で自分のことをコントロールできない」という状態は、いままで経験したことのない非常事態であり、大きなストレスです。他にも、通勤を続けている人はコロナに感染するかもしれないというストレス、リモートワークの人はほぼ自宅にこもりきりになるというストレスなど、コロナ禍においてはすべてのことがストレスとなりうるのです。

    コロナストレス下において注意したいのが、自律神経失調症です。過度のストレスにさらされることで交感神経と副交感神経のバランスが崩れ、さまざまな不調があらわれます。その症状は、頭痛、動悸、めまい、下痢、冷え、情緒不安定、不安感、うつ症状などさまざまです。

  • (3)コロナうつ

    コロナ不安やコロナストレスにより、抑うつ状態や不安症状が強く出るようであれば、うつ病不安障害を疑う必要があります。何もする気が起きない、気分が落ち込む、何も手につかない、不安な気持ちが消えない、疲れやすいといった症状が消えない場合は、精神科や心療内科の受診をおすすめします。公共交通機関を使った通院中の感染が怖い、外出したくないという方は、いまはオンラインによる診療を行っている精神科も増えているので、そういったクリニックを探すとよいでしょう。

  • (4)コロナ疲れ・コロナ疲労

    新型コロナウイルスによる不安やストレスは、極端にいえば、治療法やワクチンが開発されて感染の恐れがゼロになるまで、なくなることはありません。終わりの見えないコロナ禍に、すでに多くの方々が疲れていることでしょう。疲れは抑うつ症状を引き起こします。これからは、コロナストレスで疲れない、新型コロナウイルスとの上手な付き合い方を模索する必要があります。

    そこで重要になるのが、正確な情報を得て正しい感染予防を行うことです。ちまたにはさまざまな情報が流れています。なかには眉唾ものの情報や不安をあおる情報もあるでしょう。そのような情報には惑わされず、必要な情報を正しく得ることが、コロナ禍で疲れない生活を送るためのポイントとなります。

3.メンタル不調の対処法

  • (1)規則正しい生活リズム

    健康的な生活を送る基本は、規則正しい生活です。コロナ自粛により、仕事は在宅に、学校は休校になったことで、1日のリズムが崩れてしまった人は、まずは生活のリズムを取り戻しましょう。朝は決まった時間にきちんと起きる、栄養バランスのとれた食事を3食しっかりと食べる、適度な運動をする、質の良い睡眠をとる、という生活が基本となります。

    そして重要なのが「1日のスケジュールは自分で決めて、自分の意思で実行する」ということです。コロナ禍では、自分の意思とは関係なく行動を制限されていることが大きなストレスとなっています。よって「自分の意思で行動している。自分はコロナに翻弄されていない」という状態を作り出すことが、ストレスをコントロールするポイントとなるのです。

  • (2)運動

    適度な運動は心の健康に欠かせません。人の少ない時間帯にウォーキングをしたり、家の中で簡単なストレッチやエクササイズを行いましょう。運動が苦手な人は、ゆったりと散歩をしたり、窓を開けて太陽の光を浴びるだけでもよいでしょう。気分転換になり、ストレス解消ができます。

  • (3)オンライン飲み会(リモート飲み会)

    新しいコミュニケーション法として注目されたのが、オンライン飲み会(リモート飲み会)です。Skypeやzoomといったアプリのビデオ通話機能を使ってパソコンやタブレット端末、スマートフォンの画面越しに会話を楽しむこの交流法は、人と接触することなく自宅にいながら楽しめるとして多くの方が活用しました。

    コロナ自粛で他人との交流が極端に減ったことで、多くの人が感じたのが孤独や孤立感です。その解消にオンライン飲み会(リモート飲み会)はとても有効です。画面越しではあっても、誰かとつながっているという安心感は、ストレスコントロールに役立ちます。

  • (4)コロナ疲れ・コロナ疲労

    新型コロナウイルスによる不安やストレスは、極端にいえば、治療法やワクチンが開発されて感染の恐れがゼロになるまで、なくなることはありません。終わりの見えないコロナ禍に、すでに多くの方々が疲れていることでしょう。疲れは抑うつ症状を引き起こします。これからは、コロナストレスで疲れない、新型コロナウイルスとの上手な付き合い方を模索する必要があります。

    そこで重要になるのが、正確な情報を得て正しい感染予防を行うことです。ちまたにはさまざまな情報が流れています。なかには眉唾ものの情報や不安をあおる情報もあるでしょう。そのような情報には惑わされず、必要な情報を正しく得ることが、コロナ禍で疲れない生活を送るためのポイントとなります。

4.アフターコロナの注意点

  • (1)自粛生活でメンタルの不調が改善する人

    なかには、新型コロナウイルス感染症による自粛生活により、メンタルの不調が改善する人がいます。例えば、激務や職場の人間関係のストレス、通勤中や職場で感染してしまうかもしれないという不安により、うつ病や不安障害を引き起こしていた方です。このような方の場合、出勤することがストレスだったため、リモートワークや自宅待機に切り替わったことで、ストレスから解放され、うつ症状や不安症状が改善する場合があります。

    ただし、うつ病や不安障害の原因となっていた仕事や人間関係が根本から改善されたわけではなく、また、リモートワークや自宅待機は一時的なことであるため、コロナ自粛前と同じ環境に戻る可能性があることを忘れてはいけません。また、うつ症状が改善すると、うつ病が治ったと自己判断し、服薬を中止してしまう方がいますが、これは危険です。再発・再燃を誘発しやすくなるので、服薬を中止したい場合は、必ず主治医に相談しましょう。

  • (2)アフターコロナの新たなメンタル不調

    緊急事態宣言が解除され、各企業も徐々にリモートワークを解除し、世の中が通常モードに戻りつつあるなか、突如Twitterでトレンド入りしたのが「#出勤再開うつ」です。

    コロナ自粛で生活が変化した方たちの中には、変化後の生活のほうが快適に感じ、新しい生活様式として受け入れている人も多くいます。その理由としては、リモートワークになったことで、満員電車に乗らなくていい、通勤時間がなくなった、睡眠時間が増えた、家族と過ごす時間が増えた、自由に時間を使える、わずらわしい人間関係がないなどです。

    しかし、コロナ自粛は一時的なものです。リモートワークが解除され、また満員電車に乗らなくてはならない、また上司や同僚とコミュニケーションをとらなければならない、また残業続きになる、といった不安やストレスがうつ症状や不安症状を引き起こします。実際はコロナ自粛前の生活に戻るだけなのですが、一度コロナ自粛で快適な生活をしてしまったため、さまざまなことに対していままで以上の苦痛を感じてしまうはずです。

メンタル不調に対するカウンセリング

新型コロナウイルス感染症の蔓延により、人々はいままでにないストレスを抱え、メンタルに不調を感じている方は増加しているように感じます。とはいえ、いきなり精神科や心療内科に頼るのは抵抗がある、でも専門家の意見も聞いてみたい…。そんな方は、まずはカウンセリングの専門機関を利用するのもおすすめです。

カウンセリングには、対面カウンセリングとオンラインカウンセリングがあります。カウンセラーと直接対面して行う対面カウンセリングは、集中できる環境でカウンセリングを受けたい方に、オンラインカウンセリングは、ご自宅などリラックスできる環境でカウンセリングを受けたい、遠方で通うことが困難という方に適しています。

感染が怖くて自粛しているけど世の中から孤立しているようでさみしい、発熱や咳などの症状があり自宅待機しているけれど不安で誰かに話しを聞いて欲しい、とにかくおしゃべりがしたいといった方には、オンラインカウンセリングがよいでしょう。

当市ヶ谷カウンセリングセンターでも、オンラインカウンセリングを行っております。ぜひご利用ください。