変化する文化、加速する社会におけるカウンセリングとは

■カウンセラーは心のケアの専門家

カウンセラーの資格には、2017年に公認心理師法が施工されて誕生した国家資格「公認心理師」のほか、民間資格の(公財)日本臨床心理士資格認定協会の「臨床心理士」などがあります。どちらも取得するには専門の修士課程を学ぶ必要があり、何年も勉強を重ねなければなりません。さらに、資格を活かすためには、そこから相当数の経験が必要になります。カウンセラーは、ただの話し相手ではなく、プロの話し相手、心をケアする専門家なのです。

■カウンセリング文化を妨げる「日本の文化」

海外では主治医のように担当カウンセラーが身近におり、日常や社会生活の中のさまざまな場面において、気軽にカウンセリングを受けたりします。映画やドラマの中で登場人物がカウンセリングに訪れるシーンは、洋画ではよく見かける光景です。しかし、残念ながら日本でのカウンセリングの浸透度は、まだまだ低いものがあります。また、カウンセリングに対して抵抗があるようです。

なぜ日本では、こんなにも浸透度が低かったり、周囲の目が気になるとか、申込みやお問合せにも二の足を踏む方が多いのでしょうか。

原因は多々あるかと思いますが、そのひとつが、日本という国の文化の影響が大きいと考えられそうです。例えば、男性はいつだって強くあるべきで、いざという時に力を発揮し、常に結果を出すべきである。また、女性はおしとやかに三歩下がっているくらいが丁度よく、よく気が利き愛嬌もあるべきである。こんな時代錯誤な固定観念が、まだまだ文化として残っているのも事実です。さらに、「相手や他人の気持ちや立場を考える」という言葉に至っては、勝手に独り歩きを始め、「空気を読む」「忖度する」ことが男女を問わず必須条件として求められています。

しかしそんな「文化」にも、変化が訪れています。

■社会のスピードと心の時計

いま現在の社会は、ほんの少し前までの社会と比べて大きく変わってきました。それもかなりのスピードで目まぐるしく変化を遂げています。小さな頃から教育されてきたことや、当たり前のように覚えてきたことも、その行為や言動が「不自然」と捉えられてしまうことさえあります。

人にはそれぞれの心に時間を刻む時計を持っていて、その針の進み方も人それぞれと言えます。そう考えると、現在の社会に適応していることだけが正常なのでしょうか。

確かに時計の針が進むのが若干早い方は、この社会のスピードについていくことが可能だと思います。しかし、だからといってそれが「正しい」ということにはなりません。さらに、社会という時計の針は、気まぐれにもその早さが変わります。時に早く、時にはゆっくりと動いたりもするのです。

■完璧な順応こそ「不自然」

この新社会の中で生きていく為には、かなりのパワーが必要だし、常に神経を尖らせていないといけません。それでも、「思ってたことと違う」「そこまで考えが及ばなかった」「聞いてたことや教わってきたことと違う」という現象に出くわします。これは、時計の針の早さとは関係なく起こりえることでしょう。

生きづらさや苦しさ、孤独や不安感は、あって当たり前のことかもしれません。人として文化を継承しつつ、新社会の全てに適応することには何か矛盾を感じたりもします。もしかしたら、この新社会に完璧に順応している人はいないんじゃないでしょうか。もしいるとするならば、その人が「不自然」という事になるかもしれません。

■心が悲鳴を上げる前に

そうは言っても、この新社会が自分の思うように変わってくれるわけではありません。それならそうと、たまには足元を見つめなおし、大きく深呼吸しては如何でしょうか。

それでもまだそこに、違和感や憤りを感じるようであれば、確かな専門家が絶対に必要です。その専門家こそが、カウンセラーです。いまの時代、心のケアを専門とするカウンセラーは、誰にとっても必要な存在です。必要とされているからこそ、こんなにも世界中でカウンセリングが行われているのです。

頑なな何かに心が悲鳴を上げる前に、日本古来の文化が、とか「こうあるべきだ」を一度床に置いて、問合せてみましょう。きっと何らかの糸口が見つかるはずです。